エッチングの甲板にはスリット状の穴が多数開いているが、上から覗き込むとベースの表面が見えてしまうことになる。実艦では潜航時に甲板直下は海水で満たされるが、その下に内穀があるはずなので裏側をプラ版で被っておく。
メタルパーツは数が多く似たような形で大きさが違う物があるので、説明書のパーツリストを見ながら同定し、セロテープで直接貼り付けて一つずつ取り出した。紛失・欠損パーツは一つもなかった。エッチングパーツは比較的大きい物が多いのでこのような配慮をしなかったが、細かいパーツもあるのでやっておくべきだった。
手摺や梯子などの細かいパーツを接着していく。艦橋横の長い手摺は付属の針金をを使うように指定されているが、ちょっと触れただけで曲がってしまいそうなので0.8mm真鍮線を使用した。艦橋後端のバスケットは構造が複雑なので現物合わせが必要だ。
バスケットの上端は4本のメタルパーツで構成されている。説明書の最初のところで手摺は接着または溶接!するように書いてあるので、ここは強度も必要な所でもあるしハンダ付けすることにした。半径55mmの真円状になるように指定されているので、円を描いた紙の上でハンダ付け作業をしたが、これは無謀であった。よく考えてみるとホワイトメタル自体がハンダと同じように融点の温度が低いので、ハンダゴテで容易に溶けてしまう。泣きながらハンダをパテ代わりにして溶着し、ヤスって何とか成形した。
バスケットをパーツの現物合わせをしながら組み上げた。バスケット前方左右にベンチレーションシャフトの開孔部があり、後でメッシュ状のエッチングを貼り付けるようになっているが、ただ窪んでいるだけなので彫り込んでおいた方がよい。バスケットを作る前にやっておくべきだった。
艦橋上に乗る装備品を組み立てる。左から2cm Flak30、捜索用潜望鏡ポスト、攻撃用潜望鏡ポスト+コンパス、魚雷照準器。下のメタル製ハッチは洋白線を埋め込んで可動にした。
艦橋にエッチングのメッシュを張りハッチを斜めに取り付けた。ここは何故斜めになっているのかわからないが、実艦では内部の梯子も斜めになっているようだ。ベンチレーションシャフト開孔部は彫り込んでおき上にエッチングのカバーを貼り付けることになるが、実艦写真を見るとここは編み込んだ金網状になっている。エッチングのメッシュは気に入らないので、前にパステルを削るのに使っていた茶こしを解体して製作した(とカッコよく書いたが、実はパーツを紛失してしまったのでした(^_^;))。ここまで組み上げて右前方にあるループアンテナ収納部もただ窪んでいるだけなのに気が付いた。
1/32というスケールで窪みにブラックを塗ってごまかすという訳にはいかないので、せっせと彫り込んだ。こんなところはパーツを付ける前にやっておけばどんなに楽だったか(+_+)。
艦橋上に潜望鏡や装備品を乗せて一応主な部分の組み立ては終了した。後の塗装のことを考えてまだ接着はしていない。彫り込んだ部分は奥まで吹き付けが届かないのでフヤ消しブラソワを筆塗りしておく。
全体にレジンプライマーを吹いて表面を観察すると、今まで気が付かなかった細かい気泡が特に下側に無数にあるのがわかった。ここまであると気持ちが悪いくらいだ。
いくら細かい部分にこだわっても基本的な処理ができていない模型はまずいと思うので、溶きパテで全て埋める作業をした。
もう一度レジンプライマーをサラッと吹いて下地処理終了とした。船体部の手摺や張り線の類はまだ取り付けていない。レジン製艦橋の変形を無理矢理修正して乗せることになったが、エッチングの床を張る段階で後側の円形部が合わずエッチングを切り込んで何とかはめ込んだ。このため後端部のセンターが少しずれてしまっている。これは修正のしようがないのでフィギュアでも乗せて見えにくくするしかない(^^;。